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ヤマハ グランドアクシス フルノーマル デチューン対策 Part 1

 今更ではあるが、絶版車となったグランドアクシスについて語ろう。程度の良い中古を購入しようと考えている人や、ノーマルの良さを維持しながら、速く、キビキビと走りたい人などは、是非参考にして欲しい。ここでは、フルノーマルの耐久性と経済性を活かしつつ、グランドアクシスを快適に走らせるための改善方法について話していこうと思います。グランドアクシスや、その他のスクーターを弄り倒した経験のある方には平凡に感じる内容だと思いますが、ここで話す内容は、セッティングに頭を抱えるほどディープな改造記録には発展しませんので、予め御了承願います。

g-axis.jpg

 日本国内で正規に販売された2ストロークモデルの最後を飾ったのが『ヤマハ グランドアクシス』だ。排気量101ccの原付二種で、煩わしい二段階右折の必要がなく、二人乗りも出来るスタイリッシュなスクーターなのだが、厳しい排ガス規制に合わせるために、後期モデルはデチューンされている。つまり、本来持っているポテンシャルを殺されているのだ。50ccよりも一回り大きなフレームに合わせた前後12インチホイールによる安定性は好感触なのだが、軽い車体に載せた2ストロークエンジンによるパンチの効いた加速を期待すると、腹が立つほど後悔させられる。その出足の悪さは、2ストの原チャリに負けてしまうほど鈍臭い。しかし、諦めてはいけない。排ガス規制対策された後期モデルのグランドアクシスは、吸排気に改造を施すことなく、少ない投資で元気に走ってくれるのだ。

 グランドアクシスの形式番号は、初期モデルの5FA1に始まり、排ガス対策が施された5FA2以降のモデルがある。初期モデルはそのままでも良いかもしれないが、機械制御のオイルポンプは燃費が悪く、分離給油のオイルをガンガン消費してしまうデメリットがある。また、初期のモデルはフロントブレーキのディスクローターが小径なため、制動力に弱点を抱えている。グランドアクシスを購入するなら、電子制御となったオイルポンプと、径が大きくなった黒いディスクローターの後期モデルがオススメだ。上の写真にある車両は、ホイールがブラックになり、側面のロゴがステッカーになった最終モデルの5FA6だと思う。後期モデルは、ディープパープリッシュブルーメタリックA(新色/ブルー)・ミッドナイトシルバー(ガンメタ)・ニューパールホワイト(ホワイト)の3色がある。詳細に関しては、ヤマハのサイトを参考にして下さい。僕の乗っているモデルはここにあるタイプで、サイドのロゴとホイールの色が最終モデルと少し違っている。ひとつ加えておきたいのは、中期モデルと呼ばれているタイプのオイルポンプは電子制御に変更されているものの、オイルの消費は後期モデルに比べて多いので注意が必要な点がある。
http://www.yamaha-motor.co.jp/news/2006/03/07/ya100w.html

 マフラーに触媒が付いて、圧縮比は下げられて、メインジェットとスロージェットの番号も低くなった後期モデルのグランドアクシスではあるが、デチューンされた最大のウィークポイントは、「加速の谷」と呼ばれるクセにある。40km/h前後に現れる再加速の悪さをそう呼んでいるのだが、幹線道路の車線変更などではタイミングが合わずに、恐怖を感じることさえあるだろう。感覚的には、「1・2の3」の「3」で加速する感じで、このままでは峠などを気持ち良く流せない。市街地で常用するエリアに最大のウィークポイントがあるのは信じられない事実で、これがヤマハファンを憤らせる原因だ。重ねて強調しますが、一番オイシイ、一番楽しいエリアが死んでいるのです。つまり、パワーバンドをわざと外すことで、排ガス規制と加速騒音規制の検査値をパスさせている訳なんです。この問題を改善する一番良い方法は、やはりプーリーを交換するのが最適だろう。純正のウェイトローラーを軽いものに変更して、加速する時のエンジン回転数を上げる方法もあるだろうが、この純正プーリーにもデチューンが施されているそうなので、交換してしまった方が良い結果を望める。社外パーツのプーリーを「ハイスピードプーリー」と呼ぶのが一般的ですが、別にハイスピードになる必要はありません。ここで求めるのは、加速フィーリングとその特性にあるのです。社外のプーリーは、色んなメーカーから出ているのは言うまでも無いのですが、いわゆる「ポン付け」で改善できるタイプを選択したい。台湾製で安くて良い物もあるのだろうが、遠心クラッチのスプリングを換えたり、セカンダリーのセンタースプリングを交換するには、専用の工具と知識を必要とする。僕は様々なプーリーを試した訳ではないが、この条件を満たしてくれるプーリーは、老舗とも呼べる領域に達したキタコのパワードライブKIT type Ⅲが良いだろう。

kitako_pd3.jpg
KITAKO Power Drive Kit Type Ⅲ

 キタコのパワードライブKIT type Ⅲは、ギアレシオを広げたワイドなドライブフェイスやランププレート、ウェイトローラー・スライドピース・モリブデングリスまで付属しているワンセット。その材質・性能・耐久性のいずれも信用できる一品だ。ネットで探せば、送料込みで7000円くらいだろう。このプーリーはヤマハの純正と違い、センターのボスに接している部分にオイルシールが無いタイプで、僕はこれを装着して5000kmほど走行したのですが、ドライブフェイスとスライドピースの偏磨耗も起きていない。耐久性に於いても、純正に引けを取らない性能だろう。覚えておいて欲しいのは、グランドアクシス用のパワードライブKITは純正のウェイトローラーと大きさが違い、ヤマハ汎用型の15×12というサイズを使っていること。

 プーリーを交換した効果は覿面で、その加速フィーリングは2ストロークらしい吹け上がりと伸びを味わうことができるようになった。加速する時のエンジン回転数はノーマルに比べて少し高回転側にシフトされて、音階に例えるなら、純正がドレミファの「ファ」だとすれば、パワードライブKITはソラシドの「ラ」と言った感じだ。回転数なら1500〜2000rpmくらい上昇していると思うけど、タコメーターが無いので正確なことは言えない。プーリーを交換したことで多少燃費が落ちたように感じるが(僕のは約35km/L)、楽しくなった分アクセルを全開にするのが増えたことが影響しているのはデータに加えて欲しい。ちなみに、回転数が上がるのは加速する時だけなので、巡航している時のエンジン回転数はノーマルと殆んど変わらないから、極端に燃費が悪くなることは無いので安心して欲しい。最高速は、+10km/h伸びる程度だが、白いオートバイに乗った人から左側に寄せるよう指示され、青い紙に自分の名前を書かせられる速度に到達する時間は大幅に短縮されるので、そこは充分に気を付けた方が良いだろう。

 さて、プライマリーのプーリーだけをポン付けすれば良いと言っても、それには専用の工具が必要になる。ヤマハ用のプーリーロックレンチは、安いものなら1500円くらいで売っている。

tool_yamaha.jpg
ヤマハ用プーリーロックレンチ

実際の作業工程も説明したいのだが、ネットで検索すればプロの整備士が教えてくれる場所もあるので省略して、いくつか要点だけ申し上げましょう。ロックレンチは、開いたクランクケースのボルトを1本軽くねじ込んで、それに引っ掛けるようにするとナットが外しやすいです。新しいプーリーを組み付ける場合、本当ならトルクレンチも必要なんだけど、ナットを外した時の感触をなぞれば良いので、経験のある人なら必要無いだろう。大事なのは、必要以上にきつく締めてクランクシャフト側のネジ山をなめないことだ。逆に、締め付けが甘いと走行中にプーリーが分解してしまうので危険だ。プーリーを外す時の注意点は、部品の順番をよく覚えておくこと。特に、ボスの先端にあるワッシャー(モデルによっては無いかもしれない)の紛失には気を付けよう。プーリーを組み込む時は、ウェイトローラーが一番奥に入った状態で押し込み、冷却フィンが付いたドライブフェイスとクローワッシャーをナットで締め込む時は、セカンダリーのドリブンフェイスを強く握って広げ、ベルトを充分にたるませるのが肝心だ。これを怠ると、ナットを充分に締め込むことができずに、組み込んだプーリーが外れる可能性が出てくる。ベルトの遊びを指で確認しながら、何段階かに分けてナットをしっかり締め込んでいけば失敗しないだろう。プーリーを組み終わったら、クランクケースを閉める前に軽く試走すると良いだろう。余談だが、付属のモリブデングリスを使い切る必用は無い。残ったグリスは、次回ウェイトローラーを交換する時や、自分好みのセッティングに変更する時重宝する。モリブデングリスはセンターボスに薄っすらと塗り、プーリーの軸にあたる真鍮の部分には浅い溝があるので、そこはキッチリ埋めておけば良いだろう。ウェイトローラーと、それを収める部分には適度にグリスを塗れば良いんだけど、次回ウェイトローラーを交換する時には、磨耗したローラーのカスで塗ったグリスがカサカサになっているんですよね。

 プーリーを交換して調子が良くなっても、走行距離がかさむと再び加速の谷や再加速の悪さを感じる時があります。エンジンの始動性やスパークプラグの焼け具合に問題が無い場合は、偏磨耗したウェイトローラーがプーリーの動きを鈍らせている可能性がありますのでチェックしてみて下さい。僕の場合、走行距離7500km程度を目安にウェイトローラーを交換するようにしているのですが、普通に使う分には15000kmくらい行けるでしょう。偏磨耗したウェイトローラーの樹脂部分が破れてしまうと、深刻なトラブルの原因になる場合があるので、交換するウェイトローラーはキタコ製のものを使った方が安心でしょう。プーリーを交換する時は、せっかくだからドライブベルトも新品に交換しましょう。オススメはもちろん、ヤマハ純正です。社外製の強化ベルトも数多くありますが、品質やベルトの長さが様々であったりするので、新品の純正を選んだ方が無難です。グリスまみれの汚れた手でプーリーやベルトに触ると、それまでの作業が台無しになるので気を付けましょうね。プーリーやドライブベルトを交換した場合、最低でも2回目の給油までは接点を慣らした方が良いかもしれません。その間、フル加速は避けた方が良いでしょう。酷い場合は、ささくれたベルトの繊維が駆動部に絡み付き、走行不能になってしまうケースも考えられるからです。

 さて、次回のグランドアクシス デチューン対策 Part 2では、キャブレター周辺に関して語ろうと思っていますので、興味のある方は読んでみて下さい。御拝読まことに有難うございます。
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Comments

post
2015-10-24 19:15  最高
月光仮面 No.59
正統派の神ですね。拍手
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