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アメリカ製エコカー Elio Motors

 米国製の3輪シティコミューター Elio (エリオ) の発売が、いよいよ間近に迫って来た。3輪とは言っても、昔あったダイハツのミゼットや、マツダのオート三輪のような前輪が一個のタイプではなく、これは前二輪の逆トライク、リバーストライクと呼ばれるタイプの車両である。この見慣れぬスタイルの市販車が地味に凄い車両なので、ご紹介致します。


 Elio Motorsは、斜陽が差すアメリカ自動車産業の中から産声を上げた、新生のベンチャー企業。閉鎖されたデトロイトの自動車工場を買い取り、エンジンなど全ての部品を新規に制作して作り上げられたMade in USAの意欲作である。プロトタイプが発表された当初からすると、ヘッドライトや前輪のフェンダーなど、かなりオーソドックスなデザインに変更されたものの、基本的な構造は全く変わっていない。シンプルなサイクルフェンダーが付いていた前輪には、フルカバーの大きく野暮ったいタイプへの変更がなされているが、これは空気抵抗や耐久性・実用性・安全性などを考慮した結果だろう。カスタムビルダーが先ず最初に手を加えるのは、この部分からになりそうだ。

 Elioのようなリバーストライクの車両は、全く新しいデザインのレイアウトではない。イギリスには古くからMorganやTrikingといった3 wheelerが存在するし、近年では日本製のスーパーバイクのエンジンをドッキングさせたT-REXという過激なタイプもある。

morgan_t-rex.jpg

 しかし、これらの3 wheelerはモーターサイクルのエンジンを流用した特殊なライトウェイトスポーツビークルであり、パイロットには、ある程度の知識と経験が必要とされる。車体を軽量にするという意味に於いては、どの車両にも共通する部分ではあるが、Elioはこれらの車両とは基本的な方向性が違う。Elioは燃費と実用性を考えた結果、このようなスタイルを選択したとことになる。

 自社開発の900cc並列3気筒55馬力エンジンをフロントに搭載し、前輪を駆動して走るFF方式を採用したElioは、なによりも安全性を重視している。MRレイアウトのT-REXは、優れたハンドリングとカウンターステア、ドリフト走行を楽しむことが出来るファンビークルだが、濡れた路面で後軸に高い負荷を掛けてしまうとコントロールを失い、いとも簡単にスピンてしまう。Elioは幅広いユーザーに安心してドライブをしてもらえるよう直進安定性の高いFF方式を採用し、それに加えて広い居住空間を獲得した非常に実用性の高いクルマに仕上げられており、ABSやエアバックといった安全装置のほかに、エアコン・パワステ・パワーウィンドウなどを標準装備している。縦二人乗りとすることで細長い車体でもドライバーには充分な居住空間が設けられており、後席を倒せばゴルフバッグが入れられるスペースが確保されている。プロトタイプに無かったリアハッチも追加され、市販モデルは日常の使い勝手も考慮したデザインに進化している。スペックマニアならば、900ccで55馬力という数値に魅力を感じないだろうが、これは馬力を出せないのではなく、敢えて出力を抑えて燃費を良くしている可能性もある。

elio-details.jpg

 ダンパーを用いない質素なヒンジのリアハッチやエンジンフードなど、かなりチープな仕上がりの印象を受けるElioだが、約570kgと非常に軽い車体重量と相まって、高速巡航では約36km/L、市街地走行でも約21km/Lの燃費性能を実現している。米国の燃費計測方法は日本のカタログ数値より信憑性が高いので、このデータは実燃費に近い値だろう。そしてなにより驚くべきその車両価格は、Sエネチャージを搭載したワゴンRが約140万円なのに対して、Elioの車両価格は70万円と非常に安い。湯水の如くジャバジャバとガソリンを消費していたアメリカにとって、約4倍に膨れ上がった燃料価格は切実な問題である。厳しい現実から目覚めたこの国の割り切り方は、実に大胆且つ独創性に長けている。Elioには、アメリカという国の自由な発想力と行動力が現れていると感じる。

 スリムな車体は空力特性に優れており、3輪とすることで転がり抵抗も少ないElioは、長距離を移動するアメリカならではのシティコミューターだと言えよう。ホイールベースも長く取られており、フリーウェイを快適にクルージング出来る低燃費で低価格なElioは、通勤や通学の足として使うのに適している。70万円という価格なら、大学の入学祝いに買ってやるのも苦ではないだろう。郊外に暮らす平均的な所得層が登場するテレビドラマにElioが出て来る日は近い。それがスマートさを演出するものなのかケチの象徴となるかは分からないが、色々と楽しみな車であることは確かだ。お馬鹿なアメリカ人であれば、絶対にElioをチューニングして来ると思うが、面白いことにElioには、ATのほかに5速マニュアルも用意されている。この車は米国内だけでなく、カナダやメキシコ、南米やオーストラリアにも輸出されるだろう。

 スズキの軽自動車用ターボエンジンを搭載したケータハム160の車重は490kgだが、安全装置と快適装備を実装したElioの車重が570kgという数値は、かなり優秀だと言える。ケータハムのエンジンは日本の自主規制を解除した80馬力だが、Elioのパワーウェイトレシオだって、日本の軽スポーツに負けていない。ダイハツの新型コペンが850kg以上、今度発売されるホンダのS660にしても、同程度の車重になる。そうして考えると、Elioの方がライトウェイトスポーツカーと呼ぶに相応しい素養を秘めている。それは、プレス鋼板で作られた量産車の軽スポーツとは違い、Elioの車体はケータハムと同じ鋼管フレームで作られているからだ。

elio-flame.jpg

 この車体構造こそが、以前に僕がブログで書いた軽自動車のライトウェイトスポーツカーを作れ!Part 2という記事で説明したロールケージ一体型鋼管フレームなのである。Elioはこのフレームで、トップレベルの衝突安全基準をクリアーしている。僕は随分前からオープントップの2シーターではなく、3ドアのクーペスタイルでライトウェイトスポーツを作るべきだと提唱して来たのだが、それを日本ではなく、アメリカのベンチャー企業が実現してしまった訳だ。これは僕にとって嬉しいことではあるが、非常にショッキングな事実でもある。宇宙航空学にしてもコンピューター技術にしても、アメリカは最先端なのである。みんなが使っているwindowsもiPhoneもアメリカ産という現実を、我々日本人は謙虚に受け止めなければならない。ハイテク仕様のエコカーや似非ライトウェイトスポーツの国産車より、アメリカのベンチャー企業が作ったローテクコミューターの方が優れている事実を、日本の自動車メーカーは真剣に受け止めて欲しい。

 さて、Elioに関する日本語の情報には、どうやら誤りがあるようだ。ネット上に蔓延している情報には、Elioは9.6秒で時速160kmに到達すると書かれているが、これはスカイラインのGTRと同等の数値である。そんな訳がない。そこでWikipediaを覗いてみると、"Top speed of over 100 mph (160 km/h) and an acceleration of 0 to 60 mph (0 to 97 km/h) in approximately 9.6 seconds. " とある。つまり、最高速度は160 km/h以上、0から60マイル(97km/h)に到達する時間は、およそ9.6秒だと記されている。この加速性能はダイハツのコペンと同等なので、こっちが正しい数値だろう。この程度の誤認に気が付かいない日本のモータージャーナリズムは、馬鹿としか言い様がない。この関心の低さから来る認識の甘さは、いづれは仇となるだろう。Elioの登場に脅威を感じない日本のエンジニアとジャーナリストは間抜けだ。
Elio Motors Specifications - Wikipedia

 今年行われた東京モーターショーで、ヤマハ発動機はMOTIV(モティフ)という名のコンセプトカーを出品し四輪車市場への参入を模索しているが、鋼管フレームと複合材を多用したこの車両が、性能と価格の両方でElioを凌駕するインパクトを打ち出せなければ、大きな成功は成し得ないだろう。

yamaha_motiv.jpg

 スズキは自動車と二輪車の各部門での技術共有をすると発表したが、僕からすれば遅過ぎる対応である。ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキの4社は、トヨタが世界一になるずっと前から、オートバイで世界を制覇していた最強集団である。スズキが打ち出した方針にElioのような車両の開発が含まれているのであれば、売上が芳しくない二輪車部門で鋼管フレームのライトウェイトスポーツカーを少量生産するなんて可能性もある。強固で軽量な鋼管フレームに高性能で高出力なエンジンを搭載した超絶ライトウェイトスポーツカーの誕生は、世界を席巻するニュースである。改造車に隼のエンジンを載せるのではなく、スズキ自らが隼の四輪車を開発すればいい。GSX-R/4の市販モデルに期待したい。
スズキGSX-R/4公式ページ

 ともかく、技術立国などという言葉に酔いしれている暇があるのなら、その技術を存分に発揮出来る体制を整えなければ、日本は世界の変革から取り残されてしまうだろう。政府も規制を緩めるなり、ベンチャー企業に助成金を出すなりしなければ、いいアイデアや技術を持っている人材を潰してしまうことになる。トヨタが自動車市場で売上ナンバーワンになろうとも、日本は未だに自動車文化後進国である。Elioという車は、復活するアメリカ自動車産業の象徴となるモータービークルなのかも知れない。なによりも、Elioのような車を開発し販売出来るアメリカやイギリスの自動車文化は懐が深く、規則でがんじがらめな日本の自動車工業会では、こんな車を生み出すことすら出来ない現状が、最大の問題点なのかも知れませんね。
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